聖ヨゼフへの非常に力強きノベナ

 

このノベナの方法は、当時著名であったアロイジオ・ラルマン神父(1587〜1633)によって考案されました。
そしてこのノベナは特に聖ヨゼフの御とりなしによって御恵みを得る事に効果的である事が知られました。
この司祭の伝記で、我々は聖ヨゼフに願われた事が何事も聴き容れられなかった事はなかったという事を知る事が出来ます。
以下「聖ヨゼフに祈る(聖母文庫)」からです。

 

ある神学校の聖堂で、赤い聖櫃のランプに照らされて一人の神学生が静かに祈っていました。

この神学生は毎晩、聖堂の同じ場所に跪いて、敬虔に手を合わせ、若い瞳を輝かせながら、ある一点を見つめていました。
その一点というのは、片手で幼な子イエズスを抱き、もう一方の手に白ユリの花を持った聖ヨゼフの御像だったのです。
心静かに祈る神学生の瞳の奥には、二千年も前にナザレで貧しく生活された聖ヨゼフの姿が映っていました。

カレッジを終えると、すぐイエズス会の修道院に入ったこの若いアロイジオ神学生の聖ヨゼフに対する信心は、神学生の中でも特に際立っていました。
彼は今から進み行こうとしている修道生活を正しく見つめて、これは人間の業ではない、人間の力で出来る生活ではないと心から悟り、ただ神様の恩恵に頼るより術はないと信じて、その最も有効な手段として、
聖ヨゼフに対する信心に励むように決心したのでした。

それからというもの、アロイジオ神学生は、一日に四回、特別に聖ヨゼフの御像の前に跪いては、短い祈りと黙想を実行したのです。

朝は、神様の思し召しに対して完全に忠実な生活を送られた聖ヨゼフを黙想し、自分も聖ヨゼフのように神様の思し召しに忠実でありたいと反省しました。

昼は、聖ヨゼフがイエズスとマリアに完全に一致していた事を黙想し、自分もそのように生活したいと願いました。

夕方になると、聖ヨゼフがいかに聖母マリアを愛されたかを黙想し、自分もせいヨゼフによって一心に聖母マリアを愛そうと祈りました。

最後に寝る前にもう一度跪いて赤いランプに照らされながら、静かに聖ヨゼフの生活を色々と黙想し、自らの生活と比べていました。

彼のせいヨゼフに対するまじめな信心と愛とは、大変神様の御心を喜ばせました。
したがって神様はアロイジオ神学生に多くの御恵みを御与えになり、彼はついにつつがなく叙階されました。

年と共に彼の聖ヨゼフに対する信心はますます熱心になるばかりで、彼は特別な御恵みで不思議な事に、人の心を見抜き、罪人を回心させるなど、大きな働きをするようになりました。
「アロイジオ神父様は聖ヨゼフで生きておられる」というのが信者間の評判でした。

やがて神父は、ブルゴス大神学校の校長になりました。
アロイジオ校長神父は教授達に、授業や生活を通して聖ヨゼフの信心を神学生に教えるように常に勧めていました。

このような有様ですから、神学校全体と聖ヨゼフの関係はますます深くなり、三月ともなれば聖ヨゼフへの祈りや催しで賑やかなほどでした。

ある年、聖ヨゼフの月の聖ヨゼフの大祝日の前晩の事です。
アロイジオ校長室をノックした二人の神父がありました。
グラチアノ神父とバジリオ神父です。

「校長神父様、明日は貴師の最も尊敬しておられる聖ヨゼフの大祝日です。
私達は皆、この日の来るのを心待ちにしていました。
が、私達二人は特別に待っていたのです。
神父様、お願いします。神父様が聖ヨゼフに祈られますと、必ずその願いは聴き容れられるでしょう。
ですから何卒、私達の願いを聖ヨゼフに取り次いで下さい。すなわち私は………」
とグラチアノ神父は言葉を続けました。
「イエズスと聖母マリアについて美しい説教をし、また立派な本を書く恵みをお願いしたいのです。」

次にバジリオ神父が言いました。
「神父様、私は布教地へ行く事が出来る御恵みをお願いします。」
アロイジオ神父はそれを聞くと一つ大きくうなずきました。

その翌日は聖ヨゼフの大祝日です。
ミサが終わって間もなくして、グラチアノ神父が校長室をノックしました。
「昨日お願いした御恵みの事ですが、あれを別の御恵みと取り替えて頂きたいのですが………」
それを聞いた校長神父は、
「もう遅いです。あなた方の願いは聴き容れられるでしょう。ですから御恵みを取り替える事は出来ません。」
と答えました。

その通り、グラチアノ神父は名説教家となり、また二十にも及ぶ立派な本を残して亡くなりました。

一方バジリオ神父はカナダに渡り、一生涯を布教に捧げた後、その地で亡くなりました。
カナダに聖ヨゼフの信心を広めたのは、他ならぬこのバジリオ神父です。

アロイジオ神父は聖人の評判を残して、この世を去りました。
神父の希望によって棺の中に聖ヨゼフの御像が入れられ、多くの人々の悲しみの中に葬られました。

青年修道者の頃から聖ヨゼフの愛と信心に生きたアロイジオ神父の霊魂は、きっと聖ヨゼフの美しい御手に導かれて永遠の天国へと凱旋した事でしょう。
これは十七世紀の話しです。

 

この力強きノベナを祈る方法

 

アロイジオ神父のように、一日につき各一回、聖ヨゼフの4つの各御徳の黙想を一分間行います。
霊的に聖ヨゼフに向かい、次の4つの各点で彼に光栄を帰し奉ります。
これを九日間続けて行います。

・聖ヨゼフの内的御生涯

・天主の聖寵との御協力

・浄配である祝せられた童貞マリアへの御愛

・イエズスへの御愛

 

各黙想のしめくくりに、次の各祈りを唱えます。

 

「ああわが天主、我、聖ヨゼフの聖寵への大いなる忠実がゆえに御身を祝し奉る。
彼の愛ある御とりなしと模範の御力とによりて、我にもまた聖寵への忠実を与え給え。
ああ聖ヨゼフ、わがためにとりなし給い、我の願うこの恩寵をわがために得させ給わんことを。
(ここで願います)」

 

「ああわが天主、我、聖ヨゼフの内的御生涯への忠実がゆえに御身を祝し奉る。
彼の愛ある御とりなしと模範の御力とによりて、我にもまた内的生涯への忠実を与え給え。
ああ聖ヨゼフ、わがためにとりなし給い、我の願うこの恩寵をわがために得させ給わんことを。
(ここで願います)」

 

「ああわが天主、我、聖ヨゼフの聖母への御愛がゆえに御身を祝し奉る。
彼の愛ある御とりなしと模範の御力とによりて、我にもまた祝せられた童貞マリアへのまことの愛を与え給え。
ああ聖ヨゼフ、わがためにとりなし給い、我の願うこの恩寵をわがために得させ給わんことを。
(ここで願います)」

 

「ああわが天主、我、聖ヨゼフの天主の幼な子への御愛がゆえに御身を祝し奉る。
彼の愛ある御とりなしと模範の御力とによりて、我にもまた天主の幼な子へのまことの愛を与え給え。
ああ聖ヨゼフ、わがためにとりなし給い、我の願うこの恩寵をわがために得させ給わんことを。
(ここで願います)」

 

 

<決して見捨てられた事がないとして知られるノベナU>

一日につき各一回、聖ヨゼフの4つの各御徳の黙想を行います。

・聖ヨゼフの内的御生涯

・天主の聖寵との御協力

・浄配である祝せられた童貞マリアへの御愛

・イエズスへの御愛

黙想に続いて次の祈りを七度唱えます。

「ああ栄えある聖ヨゼフ、イエズス・キリストに抱き給う御身の御愛によりて、かつ彼の御名の栄光がため、わが祈りを聴き、わが請願を得させ給え。
イエズス・マリア・ヨゼフ、我を助け給え。」
(七年の免償)

これを九日間続けて行います。

 

 

<聖ヨゼフへの見捨てられた事のない祈りとして知られるノベナ>

 

このノベナは九日間繰り返し、その後この祈りを広めるならば、願い求めた事が実際に聴き容れられると言われています。

祈願

「栄えある聖ヨゼフ、イエズス・キリストの御養父にして保護者よ。
我御身に心を、わが手を御身の力強き御とりなしへの懇願に上げん。
イエズスの優しき御心より、わがために、霊的・現世的幸いがために要する聖寵と助けとを得させ給わんことを願い奉る。
我は殊に、幸いなる死の聖寵と、今こいねがい奉る(ここで願う)の特別なる恩寵を願い奉る。
御身のわがための代祷は恵み深く天主の王座の御前に聴かるるなれば、我は信頼に励まさるるを感ぜん。(ここで願う)

ああ栄えある聖ヨゼフ、イエズス・キリストに抱き給う御身の御愛によりて、かつ彼の御名の栄光がため、わが祈りを聴き、わが請願を得させ給え。」

 

 

 

 

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