聖アントニオ:殊に紛失物、盗まれし物の取り戻し手

 

世界の至る所において、聖アントニオは紛失物や盗み出された物の返還の願いにおいて、天主への御とりなしを願われます。

紛失物や盗み出されし物を見つける際に聖アントニオに御助けを願い奉る理由は、聖人の御生涯におけし事件にまで遡ります。

聖人には、御自身にとって非常に大切であった詩篇集がありました。
印刷技術の発明以前に出された本であるという価値のみならず、聖人はその詩篇入りの祈祷書を、フランシスコ会の学生らに教鞭を取る際にも使用していました。

ある修道生活に入り始めて間もない、修道生活に疲れを感じた男が、共同体を去る事を決めました。
彼は無断で外に出たばかりか、聖アントニオの祈祷書を持ち出しました。

聖人は御自分の祈祷書が見当たらない事に気づくと、直ちにそれが見つかるか、或いは返還される事を祈りました。

ある伝承の中では、斧を振り回す恐ろしい姿の悪魔が男の前に飛び来たって、男が祈祷書を直ちに聖人に返還しないならば、足の下に踏みつけると脅したとも言われますが、その後祈祷書はボローニャのフランシスコ会修道院に保管されたと伝えられます。

聖人の帰天後、人々は紛失物や盗み出された物の返還を願って聖アントニオによって祈り始めました。
聖アントニオの同時代のユリアノ修道士は、この聖アントニオへの祈りの御応えについて、以下のように宣言しました。

「諸海を従えて束縛を砕き、御身は死せる四肢をも蘇えらせん。
失われし諸宝は再び見つけ出され、老いも若きも御身の御助けをこいねがい奉らん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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