煉獄の霊魂のために祈るW

聖母は御自ら 聖ブリジッタに 「煉獄の霊魂の御母」の称号を啓示された。

 

<聖フィリポ・ネリと煉獄の霊魂>

聖フィリポ・ネリは 煉獄の霊魂の救いの信心に最も熱意を向けましたが、
聖人は 自分の霊的な子供達が死後に自分の前に出現し、
煉獄から解放されるための聖人の祈りを願うか、
煉獄から解放された事を 聖人に告げて感謝するために来るという事を明かしました。

聖フィリポ・ネリが息を引き取った後、
フランシスコ会の司祭が 聖フィリポ・ネリの霊魂の為に熱心に祈りを捧げていると、
聖フィリポ・ネリが栄光に包まれて出現し、祝された霊達の光り輝く列に囲まれてその真ん中にいました。

司祭は聖人に、この祝された霊達の光り輝く列は一体何でしょうかと尋ねました。
聖人は、これは自分が煉獄から解放した霊魂達であり、この霊魂達が、自分を天のエルサレムに導く番になったと答えられました。

 

<尊者マリード・アンティグナの話し>

尊者マリード・アンティグナは、毎日「十字架の道行き」の信心を行い、
その功徳を 煉獄の霊魂の解放の為に捧げることを日課としていました。
しかし後に、その信心業を行わなくなりました。

ある日 同じ修院の姉妹が亡くなり、それから少しして
その姉妹の霊魂が 尊者マリード・アンティグナに出現して こう言ました。

「私の愛する姉妹よ。
あなたはもう 全く 煉獄の霊魂の解放のために「十字架の道行き」の信心を行いませんか?
あなたは毎日その聖なる修練を為した事で 我々を解放したではありませんか?」

姉妹の霊魂が尊者のに語りかけている時、我らの主が御出現になって 言われました。

「わが娘よ、知れ。
「十字架の道行き」の信心は 煉獄の霊魂のために非常に有益なものであり、
最大の功値における一票の構成要素である。

なぜ私がこの霊魂に(出現を)許したか、
それは彼女のためと 他の者たちのために、あなたに伺わせる為にである。
また死者との頻繁な交流の恩寵は
この信心業の修練の あなたの厳正さに計上されたものである事を知れ。
それゆえ、また(自分の捧げた信心業によって解放された)これらの栄光に満ちた霊魂たちは
お前の為に祈る事、そしてわが裁きの法廷にて お前の為に嘆願する事を決して止めぬのである。

お前の姉妹たちに この宝を知らしめよ。
彼らのため、そして死者の為に、この溢るるものより汲み出させよ。」

 

 

<英国の領主のプロテスタントの礼拝の罪の話し>

英国のある領主は、カトリックに信仰を持っていましたが、
宮廷ではいつもプロテスタントの礼拝に出席し、それを隠していました。
とろこがある日、事故に遭って 領主は急死してしまいました。

数年後 領主の未亡人が再婚して何人かの子供をもうけました。
一人の娘はアランデルといいました。
アランデルはこのように証言しました。

「ある日 私の母が、イエズス会修道士で後に殉教者となった
コルネリウス神父に 最初の夫であったジョンの霊魂の安息のために聖祭を唱えて欲しいと願い出ました。
コルネリウス神父はそれを約束し、祭壇に向かって奉献している間、
ジョンの霊魂の様子を幻視しました。

それは巨大な木々が生い茂る中にある 広大なかまどのような場所で、
火が覆い尽くすようにして燃えていました。
その火の真ん中に、あの領主の姿があり 領主は嘆き 泣き叫んでいました。
領主はかつての罪を悔いていました。

コルネリウス神父は それを見て沢山の涙を流し、
神父からをそれを聞いた我々24人の親族もまた涙を流しました。
神父がそれを我々に告げている間、我々は祭壇に面した壁に、
炭で燃えている炎の様子が映し出されているのを見たのです。」

 

 

<聖カタリナ・デ・リッチと服従の徳>

「死者の日」に 聖カタリナ・デ・リッチは原稿を書く仕事を命じられました。
その執筆の仕事で 一日が過ぎてしまいました。
聖女はこの日、煉獄の霊魂の解放のための祈りや信心業を捧げる事を望んでいましたが、
服従の徳の試みによって 聖女はこの仕事が命じられました。
すると 我らの主が出現されて言われました。

「従え わが娘よ。
服従の徳によって 命じられたこの仕事を行い、
服従と慈悲の精神によって 今日書かれた一行ずつを煉獄の霊魂のために捧げよ。
煉獄の霊魂の解放が得られるであろう。」

このように、自らの仕事を犠牲として 煉獄の霊魂のために捧げる事ができます。

 

<コルナルド修道士の話し>

しばしば聖会の妨害をしてしまった 一人の若い修道士が 幸いないる改悛の恵みを受けて亡くなった数日後、
コルナルド修道士が祭壇の前で祈りを捧げている時、祈りを嘆願する声が聞こえてきた。

修道士は尋ねた。

「あなたは誰か?」

「あなたが熱誠へと私をよみがえらせた あの若い修道士の霊魂です。」

「しかし あなたは聖なる死を遂げたのではないか?
あなたは今なお 祈りを大いに必要としているか?」

「私は善き死を遂げ 救霊(たすかり)を得ました。
しかし わたしのかつての罪はなお計上されており、
罪の償いを果たす時間がありませんでした。
私は懲らしめに最も恐るべき苦しみを受け、
私の為の あなたの祈りの助けを拒絶されませんようにお願い致します。」

コルナルド修道士は直ちに 聖櫃の前で「死者のための祈り」に続けて「主祷文」を唱えた。

すると あの霊魂の声で 
「ああ 私の善き父よ!あなたの祈りが 私のためにどれほど憩いを得させて下さいますでしょうか!
もっと もっと!あなたが祈られる時、私は大いなる安らぎを味わう事が出来るのです!」
と泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

熱意を新たにして コルナルド修道士は「主祷文」を百回唱えた。
そうすると 言葉で言い表せぬ喜びを持って霊魂は

「私の愛する父よ 天主の御名によって感謝致します。
私は解放されました。
御覧ください!私は御国に入ります!」

 

 

<聖マグダレナ・デ・パッヂ童貞の姉妹の霊魂の話し>

聖マグダレナ・デ・パッヂ童貞と同じ修院で、病に伏せり聖女によって看護された姉妹が息を引き取った。

棺に納められた遺体が教会に置かれ、聖女がそこに行くと恍惚の状態に入った。

聖女はそこで その姉妹の霊魂が喜びに包まれて天つ御国に昇ってゆくのを見た。
我らの主は この霊魂が煉獄にわずか15分ほど留まっただけであったと教えられた。
なぜならこの姉妹は イエズス・キリストの功徳の徳のうちに注意深く公教会より免償を得て、
それを自分の霊的な子らに与えたからであった。

 

 

<福者エミリアの話し>

イタリア・ヴェルチェッリの修院の副院長で、ドミニコ会の修道女であった福者エミリアは、
煉獄の視点における服従の精神に啓発されました。
そして、食間に水を飲もうとする時には、上長の許可を得なければ飲めない事とし、
そのようにして、飲もうとする水を 天主の御目のうちに犠牲として捧げさせました。

この修院には、マリア・イザベラという名の修道女がおり、少し軽率な所がある修道女でした。
この修道女は祈りを短く切り上げたり、聖務日課を唱えるのも怠りがちで、
命じられた務めを果たす事を嫌がり、聖歌を歌い終えた後は、いつも真っ先に列から離れました。

ある日、聖歌を歌い終えて また真っ先に列から離れると、
福者エミリアが彼女を止めて言いました。

「私の良き姉妹よ、急いで何処に行こうというのですか?」

「他の姉妹達より先に出る事を、なぜ あなたはそんなに心配されるのです?」

「これは全く 大変良いことです。
しかし 姉妹達の中心に ゆったりと腰掛けられていらっしゃる天主の賛美を歌うのに充分値していなければ、
あなたは煉獄に行き、炎の中に留められるのではないでしょうか?
私の娘よ、あなたの節約は 恐るべき試みです。
私はあなたに、全員が列を離れてから あなたも離れる事を命じます。」

するとマリア・イザベラは まったく従順な子供のように その命令を聞き入れました。

 

 

<金の釣り針と銀の釣糸>

聖なる司教が恍惚の状態に入り そこで金の釣り針と銀の釣糸を持った一人の男の子を見た。
その男の子は 手にしている金の釣り針と銀の糸で 井戸の底より一人の婦人を引き寄せ上げていた。

司教は祈りの後 聖堂へ行く途中の道で 先ほど恍惚の間に見た同じ子供が墓地の中にいるのを見た。
司教はその子供に尋ねた。

「私の小さき友よ、あなたはここで何をしていますか?」

「体がここに埋葬されている僕の母さんのために、主祷文と天使祝詞を唱えています。」

聖なる司教は その言葉によって即座に先ほど恍惚の中で見た幻視を理解した。
金の釣り針が主祷文で 銀の釣糸が天使祝詞であり、
それらの最も祈り易き祈祷によって その子供は母親の霊魂を煉獄より引き上げたのだった。

 

<聖テレジアが見た煉獄の霊魂>

聖テレジア童貞が ある日 いつものように熱誠をこめて煉獄の霊魂の解放の意向をもって祈っていると、
聖女の霊魂は煉獄に運ばれました。
聖女はそこで、無数の霊魂が炎の中にはまっているのを見ました。
そして 我らの主が彼らの元に近づかれると 
主が解放されると決められて 指し示された幾人かの霊魂が 天使達によって 喜びに満ちて運び出されたのを見ました。

聖女は我らの主に尋ねました。
「ああイエズス、なぜ莫大な数の中から この霊魂を御選びになったのですか?」

我らの主は答えられました。

「私は解放させた。
これらは存命中に 慈悲と憐れみの大業をなした者、
彼らに対する私の約束を満たすべき 功徳にあずかった者である。」

 

 

<聖コルペウスとアイルランドの王>

ある日 聖コルペウスが聖務日課の祈りを終えたところ、
目の前に 顔は青藍色で首は火の色、肩は無残な状態でマントがボロボロの霊魂が現れました。
聖人は尋ねました。

「あなたは誰か?」

「私は他界から来た者です。」

「私が見る限り あなたは悲しい状態をもたらされているようですが?」

「私の数々の過ちが この懲罰を自分に引き寄せました。
私は かつてアイルランドの王であったマラキです。
その高位において、私は出来る限りの善行と義務とをつとめましたが、
私はこの怠慢によって 罰を受けているのです。」

「あなたが償えなかった過ちとは何でしょうか?」

「私は充分な償いをしませんでした。
聴罪司祭に金の首輪を捧げる事によって 気まぐれな傾向にあった
私への聴罪司祭の有責の弱さにより、私は今 火の色の首輪を身に着けさせられています。」

「あなたはなぜ ボロ切れに包まれているのか?」

「これは他の罰です。
私は首にはまとっていません。
私はキリスト者の称号と王の威厳がありましたが、
私は慈悲と尊敬と寛大さをを持って貧しい者を助けませんでした。
これが、なぜあなたが このような狼狽した衣服の惨めな姿の私を見ていらっしゃるか、という事なのです。」

 

<聖ブリジッタの話し>

聖ブリジッタは、天使がこのように語るのを聞いた。

「祈りと善業とによって、(煉獄の)苦しめる惨めな霊魂を助けに来たる 地上の者は祝せられんことを!」

また聖女は、煉獄の深みの炎の中より このような声が響くのを聞いた。

「己の苦しみによって 我らを助く者に 報いと祝福のあらんことを!」

 

 

<御聖体の尊者フランシス院長の話し>

御聖体の尊者フランシス院長は、幼少の頃より 煉獄の霊魂への熱い信心を持ち、それは生涯変わりませんでした。

尊者は全霊を挙げて、毎日 煉獄の霊魂のために ロザリオを捧げました。
そのようにしてロザリオを祈る時、各連の終わりに「死者のための祈り」を加え、
そして祝祭日には 自由時間に「諸死者のための聖務日課」の祈りを、
パンと水だけの断食の犠牲と共に捧げました。

尊者の許には たびたび 尊者の祈りと犠牲によって煉獄から解放された霊魂たちが 尊者に感謝を伝えにきました。
また 尊者に祈りを願うために、就寝中の尊者のベッドの周りを煉獄の霊魂たちが取り囲み、
尊者が起床されるのを待っていた事も何度もありました。

煉獄の霊魂達は言いました。
「めでたし 天主のしもべ、主の浄配よ!イエズス・キリストが 常にあなた共に在し給わんことを!」

 

 

<福者マルガリタ・マリアの話し>

グラフィエル修院長は 福者マルガリタ・マリアの回想で このように語った。

主は 彼女にある日 煉獄の中に留められた 多くの数の霊魂を御見せになった。

それらの者は 現世の生活を過ごした間 主と一致しなかった者たちであり、
そのような者たちは 死後 煉獄において 聖母と諸聖人の御助けや
己の守護の天使の訪問も剥奪されていた。

また幾人かの霊魂は
長年に渡って 恐るべき炎の中に留められる事が定められていた。
それらの中には 生涯の中で 他者にわずかな慈愛しか示さなかった者も含まれていた。

 

<ミゲル・デ・ラ・フォンタイネ神父の話し>

ペルーに宣教師として渡り、ペルーの人々にロザリオを祈る事を教えた ミゲル・デ・ラ・フォンタイネ神父は、
ある日 聖母の聖堂を訪問していた所、突然 光線を浴びているのを感じました。

それから聖母の御声を聞きました。

「わが子よ 信頼を持ちなさい。
あなたの数々の労役は、煉獄に対し あなたの為に 取っておかれるでしょう。
あなたの苦しみと我慢を耐え忍びなさい。
現世を離れる時、あなたの霊魂は 祝せられた御住まいに受け入れられるでしょう。」

ミゲル・デ・ラ・フォンタイネ神父が亡くなった時、
一人の修道者は 神父の霊魂が聖母に付き添われて 天つ御国に昇ってゆくのを見ました。

 

<聖ルイス・ベルトランドの話し>

バレンシアの修院の修道士であった 聖ルイス・ベルトランドの属していた共同体の中に、一人の若い修道士がいた。
ある時の会話で 若い修道士は、聖人にこのように言った。

「わかりますよ 神父様、あなたは大変学んでいません。」

すると聖人は この若い修道士に 優しく答えた。

「弟よ、ルチフェルは非常によく学び、今なお彼は呪われています。」

若い修道士は この言葉の過ちについて考える事もなく 償いを果たす事もしなかった。

それから少しして 若い修道士は重い病にかかり、
終油の秘蹟を受け、安らかに息を引き取った。

ある日の朝課の聖歌の後、
聖人の前に 炎に包まれた若い修道士の霊魂が出現して へりくだって述べた。

「神父様、あなたに強く宛てた あの反抗的であった私の言葉を どうぞ御赦し下さい。
あなたが私の過ちを赦されるまで 私は天主の御顔を仰ぎ見る事は許されないでしょう。
そしてどうか 私のために聖祭を御捧げ下さいますように。」

聖人は直ちに 若い修道士のかつての過ちを赦し、翌朝 彼のために聖祭を捧げた。
その日の晩課の聖歌の後、聖人は再び若い修道士の霊魂を見たが、
それは天つ御国に昇ってゆく姿であった。

 

 

<煉獄に入った司祭の話し>

パンペルナの尊者フランシス修女は ある日 煉獄に入った一人の司祭の霊魂の姿を見た。
その司祭の霊魂の指は ぞっとしてしまう様相で 次第にえぐれていった。
かつて司祭は祭壇で 「十字架のしるし」をする際に厳粛の念を欠き 非常に軽率に行った罰を受けていたのであった。

尊者は 司祭が煉獄に入る場合、
それは平信徒よりも長く留められることを明かした。

 

 

<バロニウス枢機卿の伝えた 敬虔な婦人の話し>

バロニウス枢機卿は、ある一人の 煉獄の霊魂のために非常に大いなる信心を持ち、
臨終において 重い病で苦しんだ婦人について伝えている。

闇の霊がその婦人に近づき、非常に忌まわしい事を勧めた。
一方で婦人は  甘美な天主の御あわれみの光も見た。
その天主の光は 闇の霊にそそのかされた絶望を追い払った。

その時、婦人の目の前で 天つ御国が開かれ、数千もの守護者が 自分を助けに飛んで来るのを見た。
婦人はそれによって勇気づけられ それは勝利を約束していた。
婦人は その守護者達に 「あなた方はどなたでしょうか?」と尋ねた。

守護者達は答えた。

「我々は あなた様が 煉獄より解放して下さった霊魂です。
我々は あなた様への報いとして あなた様を助けに参りました。
もう少しで我々は あなた様を 天つ御国へと御連れ致します。」

婦人はこの言葉に慰めを感じ、
それから少しして 安らかに息絶えたのであった。

 

<福者スソーと 煉獄に入った友の霊魂>

福者スソーには 修院に入る前に 善き友がいた。
福者とその友が別々の修院に入る前に、互いに "どちらかが先に亡くなれば
相手のために一週間に二度ほど 一年間 ミサ聖祭を捧げる"と約束し合った。

数年後、その友が 天主の御旨によって亡くなった。
福者は 友の霊魂のために数多くの祈りと犠牲と善行を捧げたが、
かつての約束のことは忘れていた。

ある朝 聖人が聖堂の中で黙想していると、突然 その友の霊魂が目の前に出現した。
福者は友に言った。

「私の愛する兄弟よ 私は可能な限り祈りと善行を天主に捧げましたが、
あなたに未だ充分ではありませんか?」

友は答えた。

「いいえ兄弟! 充分ではありません。
それは 私を費やす炎を消す イエズス・キリストの御血です。
恐るべき責め苦より私を解放する この上なき犠牲であり、
あなたの言葉を守る義において あなたは私に借りがあるのですから、私を拒まないで下さい。」

福者は自らの過ちを悟り、幾度も重ねてミサ聖祭を 友の霊魂のために捧げた。

それから再び 友の霊魂が出現した。
今度は以前と様子が違い 歓喜と美しい光に囲まれていた。
友はこう言った。

「見てください。
わが贖い主の御血によって 私は苦より救い出されました。
私はこれから、御聖体の覆いの許に 我々がいつも共に崇めていた 主を黙想し奉るために 天つ御国に入ります。」


 

<聖アロイジオの見た霊魂の話し>

フェリペ2世は 聖人的な一生を送った。
その臨終において 王は喜びに満ちていたと言われる。

その知らせが届く前に ローマにいた聖アロイジオは
ベラルミネ枢機卿に フェリペ2世の霊魂が栄光に入ったと語った。

ベラルミネ枢機卿は その霊魂は煉獄を通り過ぎなかったのかと尋ねた。
聖人は
「そこには留まりませんでした。」と答えた。

 

<聖リドウィナと 悪魔に仕えていた霊魂>

聖リドウィナは ある時 一つの霊魂が煉獄に留められている姿を見た。

その霊魂は 現世で悪魔に仕えて 多くの罪を犯していた男であったが、聖リドウィナを知り やがて回心し
臨終においては 非常な改悛の念を持って告白し 息絶えたのであった。

しかし 男には償いを果たす時間がなかった事を聖女は知っていたので 

聖女は 男の霊魂のために多くの祈りを捧げた。

男の死から十二年が経ってからも、聖女はなお 男の霊魂のために祈りを捧げた。

ある時 聖女は恍惚に入り聖女の守護の天使が 聖女を煉獄に連れて行き、
そこで一つの霊魂の姿を見せた。

天使は 「これが あなたが大変な熱意をもって 絶えず祈りを捧げたあの男の霊魂である」と教えた。

聖女は 男の霊魂の解放ために 苦しみを受けることを申し出て、
天主がよしとされるまで 恐ろしい痛みと責め苦に耐えた。
そして聖女が苦しみから解放された刹那、
男の霊魂は雪のように白くなって 深淵より 天つ御国に昇っていったのである。


<ストレイト神父の霊魂>

1643年11月12日、イエズス会の司祭であり、大いなる聖性で知られた ストレイト神父が ボヘミアで息を引き取った。
死後 ストレイト神父の霊魂は 同修道会の 尊者マルチン・ストルゼダ神父の前に出現して言った。

「私は一つの過ちを犯しました。
天つ御国にゆくことを妨げ 八時間 私を煉獄に拘留させています。

私の臨終において 良心に関わる ある小さな問題を押さえ込んでしまわないようにした 私の上長の言葉に
充分な信頼を持ちませんでした。
私は彼の言葉を 天主 御自らの御言葉として 尊むべきだったのです。」

 

 

<煉獄の霊魂のためのチャプレット>

このチャプレットは 一般のロザリオを使用し、環状部分の中心のメダイから始めます。

環状部分の中心のメダイで 次の祈りを唱えます。

「ああ主、わが創造主にしてあがない主よ、御身の義によりて
永遠に進む前に 己の罪を完全に償う霊魂達のために 煉獄を望まれしを信じ奉る。
更に 御あわれみあるにより 投ぜらるるもの
殊に 彼らの慰めと解放のための聖祭の犠牲を嘉納し給うを信じ奉る。
わが信仰を快活となし給い、
我に 彼ら苦しめるはらからへの慈悲の情を得させ給え。」

各小珠で祈ります。

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかにいこわんことを。アーメン。」

二番目の大珠で 次の祈りを唱えます。

「ああ 主イエズス・キリスト、栄光の王よ、
マリアと諸聖人の御とりなしによりて、信心深くこの世を去りし霊魂達を 煉獄より解放し給え。

御身に祈り奉らん。
ああ聖ミカエル、天の軍団の総帥よ、
彼らを 天主によりてアブラハムの子々孫々に約束されし 永遠の光明のうちに 受け取り給え。

主よ 賛美の犠牲と祈りとを 我 御身に捧げ奉らん。
この日 我らの記念す霊魂達の代わりとして受け取り給え。
彼らを永遠の光明と喜びの内に入るを許し給え。」


各小珠で祈ります。

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかにいこわんことを。アーメン。」

三番目の大珠で 次の祈りを唱えます。


「ああ 善き主なるイエズスよ、
感謝 義 慈悲と 父母 兄弟姉妹 霊的 或いは 物質的恩人、及び親族の
えにしとに突き動かさるるによりて 我が負いし 全ての霊魂達のため、我 御身に こいねがい奉る。

我はまた 御身にかつて一層の信心を為したる忘れられし霊魂達を御身に委ね、
かつて地上にて大責ありし司祭、権威者、上長、修道者を 祝せられし童貞女と聖パウロに委ね奉らん。
彼らを永遠の救霊に招き給え。」



各小珠で祈ります。

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかにいこわんことを。アーメン。」

四番目の大珠で 次の祈りを唱えます。

「我 御身に感謝し奉る。
ああ 主なるイエズスよ 聖化と死の御教えに対し 数多の悪あるにより
天つ御国より降り 世人をあがない給えり。
我 御身に祈り奉らん
出版 映画 ラジオ テレビによりて 霊魂達は 煉獄に置かれしなれば。

我は これらの霊魂が直ちに苦しみより解放され、永福に入るを許さるるを信じ、
近代的世に対し祈るにより
現世の水準を高むる一切の手段をして
使徒職と永遠の生命の到達のために用いられんことを。」



各小珠で祈ります。

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかにいこわんことを。アーメン。」

五番目の大珠で 次の祈りを唱えます。

「ああ 慈悲深きイエズスよ 御身の御苦しみを極められし御受難の御功徳と、わがためへの御愛に、
我が功徳を受けし現世と来世における
わが数多の罪による義罰の赦しをこいねがい奉る。

我 あたう限り 惨めなる霊魂の助けに己を負わんせとし、ああ 尽きざる善徳よ、
我に 熱誠の常増を得しめ、我がこの肉身より離るる時は
直ちに 天つ御国において御身を永久に念ずるを許し給え。」


各小珠で祈ります。

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかにいこわんことを。アーメン。」

このチャプレットのしめくくりに、「慈悲の雄々行いの祈り」を唱えます。

「ああ わが天主よ、イエズスとマリアの御功力に一致するにより、
御身の一層の栄光のため、
わが一切の善業と祈りの功値と 我が死す後に 我が受く苦しみとを
煉獄にありし霊魂達の代価として捧げ奉る。
我 御身に願い奉り、御身の聖なる御旨に彼らを据え奉らん。」

 

 

<煉獄の霊魂の為に捧ぐ祈り>

「イエズス マリア ヨゼフ 我 御身を愛し奉る。よって霊魂を救い給え。」(3回繰り返す)

「トレンチヌの聖ニコラオ、我らのために祈り給え。」

 

 

<聖ノイマン司教の祈り>

「ああ 常に御聖体のうちにて在しまし、
煉獄に捕われし 惨めなる霊魂たちへの 燃ゆる愛にて常に費やされし イエズスの いと優しき御心よ、
御身のしもべなる この霊魂たちをあわれみ給え。
彼らを 追放の影より
我らが 御身と祝せられし御母が 彼らのために 至福の広がる冠を編み給うを信ず
天つ御国の 御身の輝ける御住まいへと導き給え。アーメン。」

<煉獄の聖なる霊魂のためのチャプレット>

このチャプレットは一般のロザリオを用いて祈られます。

最初に 十字架の御像で
「使徒信経」を唱え、

最初の大珠で「主祷文」

次の小珠で「栄唱」を 諸聖人の崇敬のために唱え、
次の小珠で
「栄唱」を 大天使聖ミカエルの崇敬のために唱え
次の小珠で
「栄唱」を 聖なる守護天使の崇敬のために唱えます。


それから大珠で 
「天使祝詞」を唱えます。


それから環状部分の中心部のメダイで 次の祈りを唱えます。
「天主の御あわれみの御母よ、
万霊の救霊による天主の御栄えのため、御身の汚れなき御心の御力によりて、
煉獄に留められし聖なる霊魂達のためにとりなし給え。」

各小珠で 次の祈りを唱えます。

「ああ主よ 永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
天主の御あわれみによりて、平安のうちに憩わせ給え。アーメン。」


それから各大珠で 
「天使祝詞」を唱えます。

 

 

<煉獄の霊魂のための祈り>

「ああ 仁慈の御母、悲痛における親愛なる撫慰者よ。
彼らの責め苦に 御身の穏やかなる救助を与え給え。
厳義の謹厳なるをなだめ、あわれみの御涙によりて彼らの炎をやわらげ給え。」

「ああ 聖寵の霊、ああ 天主の慰め主よ。
彼らの熱く切望する 御身の臨在を何としてのぞみ奉るや。
ああ しかして 彼らの悲しみに生動を与える為に降り給いて、
彼らを平安と喜びによりて満たし給え。」

 

 

<煉獄の霊魂のための慈悲の行いの祈り>

「永遠なる天の御父よ、マリアの汚れなき御心によりて、
御身に いと尊き御肉身と御血、御身の唯一の御子 我らの主にして救世主なるイエズス・キリストの霊魂と御神威とを
御身の全ての聖人の祈りの御功力と、
犠牲の霊魂 全燔(ぜんはん)として 己の一切と共に
全地を通じて捧げらるる聖祭の聖なる犠牲との一致とのうちに、
煉獄の 全ての聖なる霊魂の為、
地上の全ての惨めなる罪人の霊魂の為
殊に 司教 司祭 修道者と
わが家庭と同胞の為 御身の いと聖なる御旨に従いて
イエズスの御名と 世々とこしえに唯一の天主なる聖霊との一致によりて捧げ奉る。アーメン。

マリア、イエズスと我の御母、我らの為に祈り給え。
生ける天主の聖なる天使と聖人、我らの為に祈り給え。」

 

 

<臨終にありし者の為に捧ぐチャプレット>

このチャプレットは、「幸いなる死の守護者」なる聖ヨゼフのメダイと
一連が三つの小珠からなる三連によって構成されています。
もし専用のチャプレットを御持ちでなければ、一般のロザリオを数を調整されながら用いられて構わないと思います。

第一連のはじめに このように祈ります。

「永遠の御父よ、地上における御身の御示しとして
全ての男に先じて選ばれし聖ヨゼフへの御身の御愛によりて 我らと臨終の者を憐れみ給え。」


各小珠にて
「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。



第二連のはじめに このように祈ります。

「永遠の御父よ、地上にて御身の忠実なる守護者となり給いき
聖ヨゼフへの御身の御愛によりて 我らと臨終の者を憐れみ給え。」

各小珠にて「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第三連のはじめに このように祈ります。

「永遠の御父よ、御身の愛し給う浄配なるマリアを
いと注意深く見守り給いし聖ヨゼフへの御身の御愛によりて 我らと臨終の者を憐れみ給え。」

各小珠にて「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

 

 

<煉獄の霊魂の為のチャプレット>

このチャプレットは 十字架の御像と五つの小珠、
そして環状部分は 一連が十個の小珠からなる四連によって構成されています。
もし専用のチャプレットを御持ちでなければ、
一般のロザリオを数を調節されながら用いられて構わないと思います。

始めに十字架の御像で、
「デ・プロフンディス」を唱えます。

「主よ、我 深きふちより主に叫び奉れり。
主よ、わが声を聴き容れ給え。
願わくは、わが願いの声に御耳を傾け給え。

主よ、もし不義に御目を留め給わば、
主よ、たれかよく立つことを得ん。
されど主に御あわれみあるにより、
また主の御戒めのために、
主よ、我は主に依り頼めり。

わが魂は主の御言葉に依り頼み、
わが魂は主に希望せり。
朝より夜にいたるまで、イスラエルは主に希望すべし。

そは主の御許にあわれみあり、
また豊かなるあがないあればなり。
主は御自らイスラエルを、
そのすべての不義よりあがない給わん。

主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光を彼らの上に照らし給え。」



次の小珠で
「主祷文」を唱え、

次の小珠で
「信徳唱」を唱え、

「真理の源なる天主
主は誤りなき御者にましますが故に、
我は主が公教会に垂(た)れて、我らに諭し給える教えを、ことごとく信じ奉る。」


次の小珠で
「望徳唱」を唱え、

「恵みの源なる天主
主は約束を違(たが)えざる御者にましますが故に、
救世主イエズス・キリストの御功徳によりて、
その御約束の如く、我に終りなき命と、
これを得(う)べき聖寵とを、必ず与え給わんことを望み奉る。」


次の小珠で
「愛徳唱」を唱え、

「愛の源なる天主、
主は限りなく愛すべき御者にましますが故に、
我 心を尽し力を尽して深く主を愛し奉る。
また主を愛するがために、 人をもわが身の如く愛せん事を努め奉る。」


次の小珠で
「栄唱」を唱えます。

環状部分の各小珠で

「マリアの甘美なる御心、わが救いとなり給え。」の呼祷を唱え、

各連のしめくくりに

「主よ、永遠の安息を彼らに与え、 絶えざる光を彼らの上に照らし給え。
彼らの安らかに憩わんことを。アーメン。」

と祈ります。

このチャプレットのしめくくりに、次の祈りを唱えます。

「ああ 常に御聖体のうちに在しまして
常に みじめなる囚われ者なる 煉獄の霊魂に向けらるる燃ゆる愛に費やされし
いと優しきイエズスの御心よ、
世を去りし友と同胞、殊に人生において我らに近く親愛なりし者の霊魂を あわれみ給え。
追放の影より彼らを遠ざけ、御身と御身の祝せられし御母の在し給うを
まことに信じ奉る 天つ御国の輝ける住まいに彼らを導き、
彼らに落つることなき福楽の冠を編み込み給え。アーメン。
御聖体のうちに在しますイエズスよ、
信心深く世を去りし諸霊魂をあわれみ給え。アーメン。」

 

<煉獄の霊魂の為の祈り>

「ああ天主 全ての信者の与え主にして救い主よ、
敬虔なる嘆願によりて
御身のしもべとはしために 罪の赦しを与え給え。
彼らが常に望む赦しを得させ給え。

ああ主よ、世を去りし全ての信者の霊魂を
あらゆる罪のくびきより救い給え。
御身の聖寵の御助けによりて仇罰より逃るるにふさわしからしめ給え。
永遠の光明の八福に満たさるる喜びを得しめ給え。アーメン。」

 

inserted by FC2 system