御頭を下げ給いし聖母

 

カルメル会修道士であった尊者イエズスとマリアのドミニコが1610年にこの奇跡的な御絵を見つけました。

それは彼が修道院に改修しようとしていた古い壊れた家屋の外を歩き回っていた時の事で、外にある大きなゴミの山を通り過ぎましたが、それに特に関心を持ちませんでした。
そして屋内に入った時、突如先に通り過ぎたゴミの山の所に戻りたいという内なる衝動を感じました。
尊者はランタンを灯して、ゴミの山の中を注意深く観察しました。

突然尊者は聖母の古い油絵を見つけ、衝撃を受けました。
「誰が聖母の美しい御絵をゴミの中に放り込むだろう」と彼は不思議に思いました。
彼は「申し訳ありません、親愛なる御母よ、何者かが酷い方法で御身の御姿を扱ったのです。
私はこれを持って修院に戻り、修繕致します。そして、御身に正に相応しき崇敬を与えます。」
と詫びると、尊者は損傷を受けた部分を塗り直し、独房の壁にかけると相応しき崇敬を行い、数々の御恵みと恩寵を願いました。

彼が丁度独房を掃き終えたある夕べに、聖母の御絵に少々埃がかかっている事に気づきました。
彼はうなだれ、「ああ本当に御赦し下さい、私のいと親愛なる御母よ!」と言いました。
「御身の御絵に埃がかかっているのを忘れ、私は謹んで御赦しを願います。」

彼がハンカチーフを取り出して御絵の埃を払いながら、「ああ童貞のうちいと聖にして潔白にして、全世界に御身の御顔に触るるに相応しき者なし。
親愛なる御母よ、私はこの粗き古びたハンカチーフを持つのみです。
御身の御顔の拭き掃除をなすわが善意を受け容れ給え。」

尊者が埃を払い続けると、突如聖母の御顔が生命あるものとなりました。
聖母は彼に微笑み給い、感謝の祈りのしるしとして御頭を縦に振られました。
尊者は悪魔の業ではないかと思いましたが、聖母は疑いを消すために次のように語られました。

「恐れないで下さい、わが御子はあなたの請願を聴き容れられました。
あなたの祈りは答えられ、その報いの一部として御子イエズスと私自身の愛を受けるでしょう。
さあドミニコ、あなたが願う、私があなたに与えるための恩寵を、全き信頼をもって私に願う事をあなたに求めます。」

尊者は跪いて言いました。
「ああわが親愛なる御母よ、私は自らを完全に御子イエズスと御身に捧げ、また私が願い奉る事をイエズスと御身が何事であろうとも行い給う事を願います。
ああ聖母よ、私は恩人の霊魂が煉獄において苦しんでいる事を存じております。
御身は煉獄の炎よりこの霊魂を救い給うほどいと優しくありましょうや。」

「ドミニコ、わが息子よ。」聖母は励まされました。
「あなたが多くの犠牲を行い、この霊魂のために多くの聖祭を捧げるならば、私はこの霊魂を煉獄より救いましょう。」

聖母はそう言われて去られました。

聖母が求められたので、尊者は急いで沢山の犠牲と聖祭を捧げました。
そして完了した時、彼は再び御絵の前に跪きました。
すると聖母は特別な保護者の御姿にて再び御出現になられました。
聖母はその霊魂を煉獄より救われ、その恩人の霊魂は彼に感謝しました。
「ありがとうドミニコ神父、あなたの祈りと犠牲が私の霊魂を煉獄の炎より救いました。」

聖母は言われました。
「私はあなたにより多くの恩寵と御恵みを願って欲しいのです。
私は天主の御母であり、わが子らの救霊のための聖寵を得させる助けを喜びます。」

彼は少し考えて、「親愛なる御母よ、御身の御姿に光栄を帰し奉り、御身の御助けを願う全ての者の祈りを慈悲深く聴き容れ給うほど御身はいと優しく在し給うや。」と言いました。

聖母は答えられました。
「私の保護をこいねがう全ての者が、この絵に信心深く光栄を帰するならば、彼らの諸願を得させ、また数多の聖寵を得させるでしょう。
更に煉獄の霊魂の解放のために私に申し出る祈りには、私は特別な仕方で耳を傾けます。」

 

祈り

Nihil obstat
Imprimatur

1949年 教会認可

「いとも聖なる童貞、御言葉を受肉し給いし御母、罪人のよりどころにして、よろずの聖寵の宝よ。
我ら鮮やかなる信仰もて御身の母の愛にはせより奉り、天主の御旨を為すための御身の聖寵をこいねがい奉る。
御身のいと聖なる御腕のうちに、我らの心の扶養を委ね、御身への確かなる希望のうちに、霊魂と肉身の健康を願い奉る。
我らのいと愛する御母よ、慈悲深く聴き容れ給え。
それゆえ我らは鮮やかなる信仰もて唱え奉る。」

「天使祝詞」を三回繰り返して唱えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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