アン・グリムストン夫人の天への挑発の話し

 

英国のハートフォードシア郡のある豪邸において、アン・グリムストン夫人は臨終にありました。
夫人は自分の友人達の階級と同様に富と不動産を楽しんでいた、傲慢で頑固な女性でした。
彼女の長い生涯の間、過ぎ去る事のないより大切な事物に対しては、殆ど注意を払いませんでした。
そして信仰も、彼女がそれまで生きていたように、天主を信じこの世を去り離れる全ての男女に来る慰めも、畏るべき審判の座の御前に立つ準備もないまま息を引き取りました。

夫人は自身が送ったこの世以外のものはないと信じていました。
彼女は富、豪邸、友人達、素晴らしい夕食と優雅な服を楽しみました。
彼女は死後には何もない、永遠の生命も天国も地獄もないと主張しました。
友人達はそれがどれほど不可能であるかと指摘しようとし、バラが冬に枯れて根だけとなって、それから丁度再び息を吹き返すように、別の生があると主張しました。
丁度野の木花が長い眠りの後に再び息を吹き返すようなものであると友人達は夫人に言い、夫人の生命は続き、夫人における生命は決して終わる事がないと教えました。

しかし夫人は傲慢で、信じようとはしませんでした。
そして夫人は友人に言いました。
「私の生命は続きません。
もしあり得そうもないような、この生命が私の肉身の外で木の如くに育つというのなら」、
夫人は天への挑戦を言いました。
「本当に生命がこの後も続くのであるならば、私の墓を木々に明け渡すでしょう。」

グリムストン夫人は死に、大理石で作られている頑丈な墓に葬られ、埋められて忘れられました。
しかしそれからしばらく後に、彼女の墓上の大理石の平板の位置が動いているのがわかりました。
建築家は元の位置に戻してしっかりと固定して、去りました。
それは完全に固定されたと思われました。

再び重い大理石の平板が片側のわずかな隙間と中央部の一つのひび割れから、木の小さな束が突き出てきました。
隙間はセメントで閉じられ、厚板が戻されましたが、更に再び厚板が持ち上げられました。
隙間もこれまでより大きく開き、そして細い木の幹が現れ出しました。
建築家達は砕けた墓を修繕して、一緒に石を持たせるために周囲に高い鉄の手すりを造りました。
しかし幼木の生長は進み、二つの大理石を破壊し、墓の壁を壊して地面より重い鉄の手すりを引き離しました。

そして今日では、一つの根より4本の木が生長し、英国のハートフォードシア郡の聖ペトロ教会の敷地の中で、英国の最大の木のうちの一つに数えられています。
木の幹は重い鉄の手すりの支えによって生長を早め、その手すりは動かす事が出来なくなりました。

墓の大理石は粉々となり、グリムストン夫人の墓は壊れた石の山と、ねじれた鉄棒になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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