究明の箇条

(度々悔俊の秘蹟を受ける者は夕の祈りの中の究明箇条によってもよい)

天主の十戒に背く罪

<第一戒の部

信徳にもとる罪 信仰箇条を故意に疑う事
○信仰を是非顕わすべき時に当りて顕わさざる事
○許しなく公教にもとる書物を読み、またはこれを所有し、他人に貸す事
○公教会の教理、戒律などを誹りて他人の信仰をつまずかす事
○悪しき交際、みだりなる談話をもって己が信仰を危うきにいたらしむる事
○教理を学ぶを怠る事。

望徳にもとる罪 救霊について失望する事
○罪の赦しを得る能わずと思い落胆する事
○病気、災難の時天主に頼まずして失望する事
○自ら用心せず天主の御慈みを頼み過ぐる事
○天主の御慈みを被るを幸いとして罪を重ぬる事
○速に大罪を改めず後日を期してこれを延ばす事。

愛徳にもとる罪 父母、兄弟、親族、友人などに引かされて天主に背く事
○他人の貧苦、病難などに遭うを見てこれを救い得べきに救わざる事
○他人に悪事を言いつけ、勧め、許し、或いは賞むる事
○他人の悪事を戒め得る時にゆるがせにして戒めざる事
○戒むる義務ある人に告ぐべき時にこれを怠る事。

敬神徳にもとる罪 朝夕の祈りをしばしば怠る事
○祈りの時故意に心を散らす事
○他人の信心をあざけり、或いは祈りを妨ぐる事
○聖堂にて不敬をなし、聖体の御前にて慎みを欠く事
○適当の準備なくして秘蹟を受け、若しくは受けて後感謝を為さざる事
○大罪を持ちながら聖体、堅信、婚姻などの秘蹟を受け、聖なるものを汚す罪を犯す事。

迷信の罪 偶像を拝む事
○異教の祭を行いまたは札守を持つ事
○異教の勤めに(宗教として)くみし、またこれがために特に寄付を為す事
○淫祀邪教により病気の快復などを祈る事
○まじない、占い、日選、方角の吉凶、姓名判断などを信じる事。

<第二戒の部>

天主、聖人、公教会、聖教を誹り罵る事
○天主の御摂理をつぶやく事
○わが身或いは他人の身に禍を祈る事
○天主の御名によりて不正、不実、あるいは無益なることにつきて誓いを為す事
○正しき誓いを破る事
○悪を為すを誓う事
○またはかかる誓いを守る事
○願をみだりに立つる事
○立てたる願を破る事。

<第三戒の部(公教会の第一の掟の部参照)

 

<第四戒の部>

子の務めにもとる罪 父母を敬わず、悪口を為し、手向いをなす事
○父母の病気、老衰及び貧窮などを顧みざる事
○父母の正しき命令に従わずしてその心を悲しませる事
○父母兄弟に尊き教えを勧めず、その霊魂を救うに心を用いざる事
○父母と不和なる事
○兄弟姉妹、親族と不和なる事。

親の務めにもとる罪 親たる者子を愛せず、或いは偏愛をなす事
○子の悪事を戒めず、悪しき友と交わるを禁ぜざる事
○子を戒むるに暴言をもってし、或いは暴力を用うる事
○子の養育を怠る事
○子に聖教を学ばしめず守らしめざる事
○子を強いて縁付くる事
○子に悪しき例しを示す事。

夫婦の務めにもとる罪 夫婦の不和なる事
○夫婦相互の務めを果さざる事。

その他の務めにもとる罪 召使いたる者、主人を軽んじ、正しき命令に背き、主家に害を加うる事
○主人たる者、召使いをあわれまず、正しき給料を与えず、その救霊に意を用いざる事
○人民たる者、官吏を敬わず、これをないがしろにする事
○正しき法律を破る事
○納税、教育の義務をよく守らざる事
○官吏たる者、公益を計らざる事
○信者たる者、教皇、司教、司祭などを愛し敬わず、その霊的指導に従わざる事。

<第五戒の部>

人を殺し、堕胎をなしまたはこれを為さしむる事
○自殺をなさんと思う事
○みだりに他人を打ち、或いは傷つけ、害を加うる事
○喧嘩、争いをなし、或いは他人を辱しむる事
○憎み、恨み、仇返しの念などを含む事
○故なくして自ら生命の危険を冒す事
○これらの事を勧め、或いはこれを為す人に協同する事
○言葉、行いをもって他人をつまずかせ、その霊魂を害する事
○他人の霊魂或いは肉体に為したる害を償わざる事。

<第六戒、第九戒の部>

己一人或いは他人と共に貞潔を損う事(その人、縁付きたる者なるかまたは近き親族なる時はこれを言い現わさねばならぬ)
○わが身或いは他人の身に触れて貞潔を損う事
○貞潔を損う話をなし、歌をうたい、或いはこれらを甘んじて聴く事
○貞潔を損う書画、その他見苦しきものを見る事
○貞潔を損う危険のある場所に近づく事
○他人に邪淫を教うる事
○邪淫のなかだちとなる事
○父母もしくは主人たる者、その子女または召使いに邪淫の行いあるを見て直ちにこれを禁ぜざる事
○慎みを欠きて他人の心を乱す事
○これらの事を為さんと望み、或いは為すを欲するにあらざるもその思いを楽しむ事
○避妊の行為を為す事。

<第七戒、第十戒の部>

強盗、窃盗、すり、詐欺などをなす事
○他人の物或いは共有物を私する事
○盗み物を隠し、或いはこれを売り買いする事
○請負仕事を粗略にし、売り買いに際して人を欺く事
○格外に口銭を貪る事
○勘定違いを知りつつ他人に損をかくる事
○仕払いをわざと滞らせ、或いは借財や預り物の返却をなおざりにする事
○拾い物を届け出でざる事
○人の財産に損害を加え、預り物を損う事
○約束に違いて人に損をかくる事
○盗み物を返さず、また全て他人に及ぼしたる損害を償わざる事
○これらの事に協同する事
○他人の持ち物をみだりに望み、或いは他人に損害をかけんと思う事
○団体、国家などに対してこれらの事を為す事
○賄賂を贈り、またはこれを受くる事
○一般に必要なる時に財産、収入などを隠して他人に損害をかくる事。

<第八戒の部>

裁判官に対して偽証する事
○文書または印章の偽造をなす事
○言葉、行いをもって他人を欺く事
○偽りを他人に勧むる事
○故なく人の落度を語る事
○不和の基いとなるべき無益の噂を為す事
○他人の秘密、若しくはその罪を探り或いはこれを漏らす事
○職務上知り得たる秘密を漏らす事
○他人の誹り、讒言を為し、または甘んじてこれを聴き、止め得る時にこれを止めざる事
○誹り、讒言を以て他人の名誉を傷つけたる時に、能う限りこれを償わざる事
○邪推をもってみだりに他人を疑う事。

<公教会の六つの掟に背く罪

第一の掟の部

主日または守るべき祝日に、職業の便利を計りて許可もなく緊急にもあらざるに働く事
○主日または守るべき祝日の勤めを妨ぐべき遊戯、娯楽、交際などを為す事
○家族或いは召使いに主日または守るべき祝日を守らしめざる事
○ミサ聖祭の主なる部分を欠く事
○故なくミサ聖祭に遅刻し、或いは早退けする事
○ミサ聖祭の間に祈りを怠り、または心を留めずして疎略にこれに与かる事。

第二、第三の掟の部

年に一度の告白を怠る事
○究明を疎略にし、痛悔を起さず、また大罪をありのままに告白せざる事
○司祭より言いつけられたる償いを果さざる事
○御復活祭の頃に聖体を受けざる事。

第四、第五の掟の部

大斎小斎の掟を軽んじてこれに注意せざる事
○許可なくあるいは理由なくして大斎或いは小斎を守らざる事。

第六の掟の部

教会維持の義務を軽んじ、或いはこれを怠る事。

<罪源の部>

一 高慢、
己が知恵、力、財産などを誇りてみだりに高ぶる事
○他人を軽んずる事
○事業によりて他人の賞讃を求むる事
○名誉をみだりに望み喜ぶ事。

二 貪欲、
己の力に応じて施しを為さざる事
○吝嗇のため己または他人に必要なるものをも欠く事。

三 嫉妬、
他人の幸いを悲しむ事
○他人の善事を妬みまたはこれを妨げ、或いは妨げんと思う事
○他人の禍いを喜び、またはひそかにこれを望む事。

四 邪淫(天主の第六戒、第九戒の部を参照)

五 貪食、
食べ物、飲み物を過し、身体を損う事
○意識を失うまで酒に酔う事
○酒に酔いて粗暴または淫らなる言葉、行いをもって他人の為に悪しき例しとなる事
○酒に溺れて妻子を顧みざる事
○飲酒をみだりに人に強うる事。

六 憤怒、
気ままに腹を立つる事
○争論、悪口、殴打などを為す事
○故意に他人の怒りを起すもととなる事。

七 怠惰、
職業に励まず、いたずらに時間を費やし、宗教上、家庭上及び社会上の務めをゆるがせにする事
○己が欠点を正すに無関心なる事。

(右の箇条のほか、各自その本分を全うしたか否かを特に究明する必要がある。例えば夫婦相互の務め、官公吏、教師、生徒、雇い主、使用人の義務などである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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