各種の聖具・種々のスカプラリオ

「その家に入る誰もがあなたの臨終において、あなたが十字架に磔にせられたる主の弟子である事を知るために、決してあなたの家の壁に十字架に磔にせられたイエズスの御像なくあってはなりません。
またその所有を恥じてはなりません。」

「あなたの家に幾つかの聖人の御像や御絵を持ち、他の所有するもの以上に磔にせられたイエズスの十字架の御像を重んじなさい。
しばしば我々の心に聖人方の地上における御生涯の御特性をもたらすために、御絵の一見を必要とします。
我々は彼らから信仰、勇気、痛悔、そして天主の愛を学びます。」(アルスの主任司祭 聖ヴィアンネ)

<聖ベネディクトの十字架>

臨終にある者を支えるために聖にして母なる教会が提供する物の一つに、この十字架の御像があります。
聖ベネディクトのメダイが加えられたこの十字架像を、教会は幸福な死の証明とします。
教皇聖下はこの組み合わせによって全免償を与えられました。そしてこの免償を得るために、十字架の中心にメダイが配置されています。

メダイの表側の円周に沿って刻まれている「Ejus in obitu nro praesentia muniamuvr.」には「我らの臨終において、御身の御特性及び御現存によりて我らの鎧となられ給わんこと。」という意味があり、このメダイの文字は魔除けの強力な祈願を示します。

<赤のスカプラリオ>

1846年7月26日、我らの主が愛徳姉妹会のアンドリビュー修女に御出現の際に、主の御手にあって与えられたスカプラリオで、イエズスとマリアの聖心の保護を願い、かつ御受難をより思い起こすための意図をもって着用します。

修女が「十字架の道行」の祈りの第十三留で祈りを捧げていた時、聖母は言われました。

「世界は自ら滅びを招いております。
なぜならイエズス・キリストの御受難を黙考しないからです。
その救いをもたらすために、その黙想をもたらすために、あなたに能う限りの事をして下さい。」

1846年7月26日の我らの主の修女への御出現の際には、長い赤いローブと碧い外套を召され給うのを見ました。
主の御右手には、人類に捧げられたいと大いなる苦しみの御受難に使用された各道具によって囲まれた十字架の御像のスカプラリオがありました。
更に赤い毛織の編まれた紐のもう一方の端には、イエズスとマリアの聖心があり、その上には十字架がありました。
その裏にも不思議のメダイと同じように、イエズスとマリアの聖心があり、その上には十字架がありました。
表側の下部には互いに似た天使がありました。

1847年6月25日には教皇ピオ9世がこのスカプラリオを受け取られ、これを「イエズスとマリアの聖心と我らの主の御受難のスカプラリオ」と御呼びになられました。

この意図をもって着用する者に対して教会によって定められた免償が与えられ、かつ金曜日に着用するものに対し主は信・望・愛の特別なる聖寵を約束されました。

「我らの主イエズス・キリストの聖なる御受難よ、我らを救い給え。/イエズスとマリアの聖心よ、我らを守り給え。」(赤のスカプラリオの祈願)

<緑のスカプラリオ>

(京都司教認可 レオ・スタインバック神父)

この緑色のものは”スカプラリオ”と云います。
表にはマリア様の御姿が画いてあります。マリア様は私共と違って、少しも罪の汚れがありませんでした。
私共はいろいろと罪を犯した。例えば腹を立てたり、人を憎んだりしますが、マリア様は一ぺんも悪いことをなさいませんでしたので、御亡くなりになってから、天国(極楽)の最も高い席に御昇りになりました。

ところが、およそ百年前、マリア様はフランスと云う国で御現れになった事があります。
その時マリア様は緑色のスカプラリオを手に持って、
「誰かれの差別なく、このスカプラリオを身につけて、毎日少なくとも一ぺん、この裏に書いてある祈りを唱えると間違いなく幸福になれる」と御約束になりました。
マリア様はむろん神様ではありませんが、その御子イエズス・キリスト様が神様ですから、マリア様は、天国においてわたくし共のお願いをイエズス様に伝えて下さるのです。
イエズス様は孝行な御子ですから、その御母の御願いを必ず聞き入れて下さいます。

あなたも今までに犯した罪を心からお詫びして、このスカプラリオを始終(いつでも)身につけておいて、この祈りを唱えて下さい。

ある方々は一日に何回もただ自分のためばかりでなく、他人の為にも唱えます。
この祈りを唱えた為、どれほど多くの人が、有難い信仰の御恵みを頂いて霊的に救われ、または体のいろいろな病がなおされたかその人数は数えきれません。

マリア様は、心も汚れなく何も罪を犯しませんでしたのにこの地上において大変御苦しみになりました。
御子イエズス・キリスト様が十字架の上で、御亡くなりになられた時、御母はその十字架の下に御立ちになり恰度(ちょうど)、御自分の胸に剣(つるぎ)を刺されたように御心をお痛めになりましたので、そのために、このスカプラリオの裏には御心臓に剣が刺してある絵が画いてあって、その上に十字架が画いてあります。

こんなに罪の汚れないマリア様が御苦しみになった経験があり、その御功徳は、有難いものですから、只今も、わたくし共の一番大切な死ぬ時(臨終)にも、わたくし共の救霊(たすかり)のために、おつくしになって下さいます。

このように、御心の清い、御慈悲深い聖マリア様に、いつもお祈りする人は必ず救い助けられます。

「聖マリアの汚れなき御心よ、今も臨終の時も我らのために祈り給え。」

<青のスカプラリオ>

1605年の聖燭節においてテアチノ会の創設者、ウルスラ・ベニンカサに聖母が御出現になられました。
聖母はまばゆく輝く白いローブを着用され給い、天の青き外套を召しておられました。
また聖母と同じ服装の美しきおとめ達の群れは、天主の幼な子を御腕に抱き給う元后を囲みました。

至聖なる天主の御母は自身の罪を強く歎いていた敬虔なウルスラに向かい、上品に微笑まれ、
「わが娘よ、あなたの涙を乾かし、あなたの悲しみを今清きものとなし、天の喜びに換えるものとしましょう。
あなたを配偶者と選び給うた我が天主の御子の御言葉に耳を傾けなさい。」
幼な子イエズスはウルスラに、無原罪の御宿りに光栄を帰し奉るテアチノ修道女の名前の新しい修道会を創設するように命じられました。

この会は祝せられた童貞マリアの御出現における同様の質をもった30人の処女会員から構成され、天主の御子はこの会にあずかる会員達に、主の御母の無原罪の御宿りに光栄を帰し奉るうちに明青色のスカプラリオを慣習として採用する事に対し、特別なる恵みを約束されました。

1605年ウルスラ修道女は更に、それらの約束が全ての信心深い人々にも与えられる事を望み、青のスカプラリオを着用し、生涯において自己の身分における務めを果たし、また無原罪の御宿りのスカプラリオを広める会に登録する全ての人々にもその約束を与えられるように熱心にあわれみの御母に祈りました。
それは聴き容れられ、直ちに幻視の中で、信心深い人々の間で青のスカプラリオを配ることに忙しく働いている多数の天使達の姿を見ました。

またその後修道女はこのスカプラリオを着用する他の修道会の会員達、もしくは一般の信徒達に同様の約束を与え給う事を願い、主は同じ約束をなさられました。

1671年1月30日、教皇クレメント10世はこの信心を豊かな実りあるものとされ、教皇クレメント11世は免償を更に加えられました。
全免償を得るためには無原罪の御宿りなるマリアへの特別なる信心をもってこれを着用し、生涯において自己の身分における務めを果たし、またこれらの条件―すなわち無原罪の御宿りのスカプラリオを広める会に登録するか、至聖三位一体とマリアの無原罪の御宿りに光栄を帰し奉るために日々「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を各6回唱える―のうちの何れかを選択しなければなりませんでした。

これらは現在の免償規定により有効ではありません。またこのスカプラリオは青い羊毛から作られます。

<祝福と保護のスカプラリオ>

聖痕を受けたフランスの神秘家、マリー・ジュリー・ジェニーが1878年8月23日に恍惚のうちに啓示されたスカプラリオ。

このスカプラリオは世が聖なる天主の義罰に直面する怖ろしき時代を通じて我らを導くために、我らの聖主と聖母によって供されし、ほまれある特権です。

人間の側によるいと数多の涜聖と重大なる不義は、天主の義を容赦なく刺激しますが、同時に我らの主と聖なる御母の尽きざる御徳は御自ら助け給う事を明示され、苦悩の只中において謙遜なる者を、善なる不可思議なる質を持って、彼らの内に信頼を置き給います。

このスカプラリオは特別なる保護を与えると言われます。

「これは聖なる童貞が、御自らの汚れなき御心の上で私に示し給いしものです。
一般のスカプラリオより大きく、掌よりも少々大きなものです。
それは綺麗なスミレ色、スミレ色に近いものです。
上部はこれで、中央には十字架上で主を釘付けにした三本の釘があります。
それらは互いを越えるように置かれ、全く十字架の形ではなく、各々の釘の間には一滴もの紫の御血のしずくがありません。

釘の先より少し飢えに、目立った皮の部分を持つ大きなスポンジの一種があります。
それはカラス麦の俵のようです。」

 

(以下つづく)

 

 

 

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