聖大ゲルトルード童貞

1256年ドイツに生まれる。生涯の中で多くのキリストの幻視と神秘的な教えを受け取り、また著述した。

1302年帰天。1677年教皇クレメンス12世によって列聖。祝日11月16日。

 

聖女の全ての著述において、我々はただ御聖体中に主を探し求める人々のための厳格な精神を生きる一つの道を見出します。
そこでは無慈悲と非難の罪によって彼らの舌を汚すことを許した聖体拝領者について言及されています。

ある日の聖体拝領の後は聖女はとりわけその光栄を帰され聖化されたキリストの御体によって聖女の身体の一部となったその御聖体を置かれた舌を用いるべき時に注意を払いました。

我らの主は聖女に語られました。
「むなしい、無駄な、罪深い談話を避けない者、かつ悔い改めなくして御聖体に近づく者は、彼の戸の敷居に彼の訪問に来た客達に投げるための石の山を集め、また棒をもって彼の頭を残酷に打つ者のようである。」

 

<我らの主にいとも愛されし聖女>

(我らの主より聖マチルダへの聖大ゲルトルードに関する啓示)

我らの主はある日聖マチルダに聖心上のクローバーの形状にして三角形に置かれた宝石を示されました。
それは記述出来ぬほどの美と輝きを放っていました。

「私は常にこの美しい宝石を纏うのである。
私はこの形式によってわが配偶者への愛情の誓約としてこの宝石を宝石を創造したが、この第一葉の輝きによって、天の全宮廷はゲルトルードと同じく私に親愛なる者は地上の被造物の中にいない事を知るであろう。
なぜならこの現在において人類のうちに、意向の潔白と意思の正しさのいずれにもよって私に対し彼女と同じく緊密に一致する者がいないからである。

彼らは第二葉によって、わが聖寵と恩寵によって富ませられる様に置かれた者において、肉と御血の縛めによってとらえられた霊魂がない事を理解し、彼らはまた常に何事も自らに帰さぬ事をいとも愛し、自らに関して最も小さき事物を望み奉る事よりも遠ざかったゲルトルードの如くに、その正直さと忠実を持って我より受けし賜物をただわが栄光のために帰する者がいない事を第三葉の光輝のうちに気付くであろう。」

「祭壇上の聖体に次いでゲルトルードの霊魂と心より私を大いに喜ばせる、私のために相応しき場所をあなたは見出さぬであろう。
わが親愛なる者、わが全ての愛情を彼女に向け、わが天主なる愛の一人よがりの並外れた方法を向けさせよう。」

 

<聖女の御著述>

「ああ主イエズス・キリスト、生ける天主の御子よ、我が全霊もて、渇ける霊魂もて御身を熱く望み奉らんことを。
唯一御身の甘美と喜びを求め、わが全精神と全ての内に、我らのまことの八福なる御身への熱き嘆息があらんことを。
ああいとも憐れみ深き主よ、御身のいと尊き御血もて御傷をわが心に深く刻み給いて、我が御身の御悲しみと御愛の双方を読み取り奉らんことを。

かつ御傷を偲び、常にわが心の最奥に留め、御身の御苦難がための同情を呼び起こしめ、御身の御愛をわが内に弥増し給え。

我が全被造物を軽んじ、わが心が唯一御身の内に喜ぶを得しめ給え。 アーメン。」

「この祈りは私を大変喜ばせました。私はこの祈りを記憶し、頻繁に唱えました。
その同じ冬のある午後の事でしたが…いみじくも突然我らの主が私を御聴き下さっておられる事を自覚致しました。
ああわが主よ、丁度御身の聖なる御肉身に刻まれしが如く、いかにして尊崇し奉る御傷をわが心に刻み奉るのでしょうか、と私は感じました。
私の過ぎたる不面目にも関わらず、御身の限りなき御寛容は私にこの時間と、更にそこに印象を保ちました。」

 

<聖大ゲルトルード童貞のチャプレット>

一般のロザリオを用いて祈ります。

始めに「使徒信経」を1回、「主祷文」1回、「天使祝詞」3回、「栄唱」を1回祈ります。

中心のメダイより各大珠で「主祷文」を祈ります。

各小珠で次の祈りを唱えます。この祈りを行う毎に1000の霊魂を煉獄から解放される事をキリストは聖女に御約束なさられました。

「永遠の御父よ、我は今日、全世界にて行わるる聖祭において御子イエズスが流され給うた尊い御血をば、煉獄の聖なるすべての霊魂がために、至る所に存在せる罪人がために、普遍の教会における罪人がために、わが家庭及びわが家族のうちの罪人がために捧げ奉る。 アーメン。」

続いてイエズスとマリアの聖心に向けて「栄唱」を1回祈ります。

 

各連のしめくくりに次の様に祈ります。

「イエズスの至聖なる聖心よ、罪人らの心と精神を真理及び御父なる天主の御光に開き給え。」

「マリアの汚れなき御心よ、罪人らの回心、かつ世のため祈り給え。」

「栄唱」を一回唱えます。

ここまでを1連とし5連繰り返します。

 

<聖大ゲルトルードへの祈り>

「御身のシトー会則と、天の新郎への全き模範よ。
主は御身によりて驚くべき私的啓示の手段と為して喜び給いたり。
修道者が全き寛容、試みの常にあらず、なお足らざるもなく、かつ天主の尽きざる御愛を悟るを助け給え。
全ての修道者を御身の如く寛容ならしめ給え。アーメン。」

 

<祈り>

「ああ天主、聖なる童貞ゲルトルードの心中に御身をまことに喜ばする御住まいを御自ら備え給いし御者よ。
彼女の功徳ととりなしによりて、我らの心より汚れを洗い流し、彼女と共に交わりを喜ぶを得させ給え。
御身と聖霊との一致のうちに世々に生き、かつしろしめし給う御子、我らの主イエズス・キリストによってアーメン。」

 

<聖大ゲルトルードの心への 幼な子イエズスの御訪問>

聖大ゲルトルードの心への、幼な子イエズスの御訪問について聖女は次のように語られました。

「それは我らの主の御降誕の祝せられし夜の記念の事でした。
霊的に、柔らかき、生まれたての幼な子がわが心中に置かれたのを感じました時、私は栄えある天主の御母のしもべのつとめを果たそうとしました。
同じ時に、私は己の霊魂が全く変容するのを感じました。

それから私はこの甘美なる言葉の意味を理解しました。
『神が全てにおいて、全てとなられるためです。』(Tコリント 15:28)

私の霊魂は最愛の御者の御現存によりて富まされ、喜びの高潮した
感情によって、その浄配を所有する事をすぐに知りました。
私の御身への渇望は、この御言葉によって満たされました。

『わが神性によりて、我はわが御父の要旨のかたどりにして、またあなたもわが謙遜における要旨のかたどりである。
太陽が大気に己の光明を伝達する如くに、あなたにいと緊密なる一致の備えをなさせるために、わが神性の光線はあなたの霊魂に染み入り、天主の如くになさしめるであろう。』

 

天主は聖大ゲルトルードに対するこれらの驚くべき聖寵与えられるのみならず、また聖女の死去後に聖女を崇敬する全ての者にも大いなる聖寵を約束されました。

 

<聖女の御功徳によりて恩寵をこいねがわん>

天主は聖大ゲルトルードに対し、聖女に授けられし種々の聖寵に対して天主に感謝し奉る者に対し、聖女の御功徳にあずからせ、永遠の幸いのための彼らの懇願を得させ給う事を明らかにされました。

 

「ああいと甘美なる主イエズス・キリストよ、我至聖三位一体の、各々を互いに与うる天主のペルソナの、天の尊崇と、祝せられた童貞マリアと諸天使、諸聖人の上に流れ下し給いし御身の聖なる御人性との一致のうちに、御身を称え、ほめ、祝し奉る。

また我は御身の愛し給う浄配なる聖ゲルトルードに惜しみなく与え給いしよろずの聖寵ゆえに、御身に感謝を捧げん。

我は殊に、全き永遠より彼女をあらかじめ選び給い、いと高きもので富ませ、いと強き愛の絆によりて彼女をいと甘美に御身に引き寄せ給い、彼女の心中にかくの如き喜悦と共に住まいて、彼女の生涯に大いに祝せられし終わりを授け給いたる、この言い尽くせざる愛ゆえに御身に感謝し奉る。

今、我今一度御身を呼び求め奉る。
ああいと慈悲深きイエズス、救霊に関わる全ての事柄において、彼女の御功徳ととりなしによりて御身に進む者の全ての祈りをいとも確かに聴き容れ給うを御身は愛せる浄配に約束し給いたれば、御身のいと優しき愛によりて、我確信をもって求むるこの聖寵を与え給わんことを御身にこい願い奉る。
(ここで願う)

アーメン。」

 

<聖大ゲルトルード童貞の御生涯と主イエズス>

ある晩に、聖女は熱を出していつもよりも苦しみました。
聖女はこの病気の原因について心配していました。
イエズスは聖女に御出現になり、主の御右手にて健康を運び、御左手にて病を運ばれ、聖女が好む方を選ぶように両方を差し出されました。

聖ゲルトルードは、諸善が満ち住まう事を知っている、彼の愛せる御心に向かい、答えました。
「主よ、私は何事をも選びません。
私はただ御身の御心の善き喜びを望み奉るのみです。」

すると主は泉を生み出され、御心より聖寵の源泉として聖女のに注ぎ込み、主は言われました。

「以来あなたは己を捨て、それを捨てるために完全にわがものとなり、私はあなたに全き甘美とわが天主なる御心の全き喜びとをあなたに注ぐのである。」

この偉大な聖人のように、主の御旨が我々に最善の事を選び給い、御心の甘美なる喜びに我らを満たし給うよう、我々は何事をも選ばず、何事も頼まず、全賢、全愛の我らの主イエズスの御旨のうちに全き信頼を持つべきです。

主のいと崇むべき御旨が導き給う事による被造物が与えられる喜び以上に、そして主の油断なき御摂理に全く信頼する事以上に、被造物にとってそれ以上の大きな幸いはありません。

 

<聖大ゲルトルードの小さき冠>

(私的信心としてのみ用いられます)

このチャプレットは、聖大ゲルトルードのメダイと一つの大珠、環状部分は10個の小珠によって構成されています。
もし専用のチャプレットを御持ちでなければ、一般のロザリオを数を調節されながら用いられて構わないと思います。

始めに(メダイで)次の祈りを唱えます。

「至愛なる御父よ、我御身の御足元に進み奉る。御身と我の間を隔てるよろずの罪をみそなわし給え。
我を憐れみ給いて、御身の御憐れみの数多なるに我を一致せしめ、御身より我を遠ざけしわが生の旧式の壁を取り崩し給え。
御身の方に我をいとも熱く引寄せ給いて、消し得ざる胸に抱きし愛の温和のうちに、我が御身に賢明に従い奉らんことを。」

 

次の大珠で祈ります。
「めでたしマリア、輝かしく常に晴朗なる聖三位の白ユリ。
めでたし、天上の歓喜の園のまばゆき薔薇。
おお御身、御身によりて天主が生まれん事を望み給い、御身の乳によりて天の王が養われん事を望み給いし御者!
我らの霊魂を天主の御恵みの流出によりて養い給え。 アーメン!」

 

環状部分のメダイで次の祈りを唱えます。
「御身は聖ゲルトルードの心を御身の愛の現存にて満たし給いたれば、我らの暗黒に光明をもたらし、御身の現存の喜びと聖寵の御力を我らに体験せしめ給え。」

 

十個の各小珠で「栄唱」を唱えます。

 

一周して中心のメダイに戻り、三回の「天使祝詞」を唱えた後、
次の祈りでしめくくります。

「これを唯一なる天主、御身と聖霊と共に生き、かつしろしめし給う御子、我らの主イエズス・キリストによりて願い奉る。アーメン。」

 

<聖大ゲルトルードに対する効果的祈り>

「ああいと祝せられし童貞ゲルトルードよ、我御身を称え御礼を為し奉らん。
御身の浄配なるイエズスのいと甘美なる御心によりて、かつこの心によりて、御身の救霊のため、その底知れぬ深淵よりこれまで流れ出し全聖寵のため、とこしえに崇めらるる三位のつつましきと善徳とを我は称え奉らん。

イエズスの聖心に御身の清浄なる心に一致せし互いの御愛によりて、生涯と臨終とにおいて御身の配慮に委ねられし者として我をみそなわし給い、天主に対するわが誠実なる擁護者となり給わんことを、御身にこいねがい奉る。アーメン。」

 

 

<聖大ゲルトルードの煉獄の惨めなる霊魂を愛し、慈悲を注ぎしこと>

聖女は公教会の苦しみでもある、煉獄の聖なる霊魂らに対し、深い思念を持っていました。
各聖体拝領においては、イエズスの御憐れみが、それらの霊魂に授けられるようにこいねがいました。

ある時の聖体拝領の間、我らの主と共に煉獄に霊的に下るという体験をしました。
聖女は、主がこう言われるのを聞きました。

「聖体拝領において、私はあなたが通す祈りの香を、全ての者に吸わせる事を許す。」

拝領の後に、我らの主はいつも、聖女が願うよりもより多くの数の霊魂を解放されていました。

ある日聖女がまた煉獄の霊魂のために祈っていると、主が御出現になり、聖女に確固たる自信を持って祈らぬように、その信と望みの実現は天主が我らの祈りを聴き容れられ、答えられる事であると諭されました。

「じかに、もしあなたがこの請願のために自信を持って祈るならば、あなたが祈り願う苦しめる霊魂の解放のために、わが義を通す必要はないのである。」

主はまた聖女に次のように言われました。

「煉獄の霊魂のためのあなたの祈り、殊にこれらの日々において聖体に在す私に一致せし祈りを私が拒み得るのは何であると思うか?」

 

<煉獄の霊魂のために祈る事>

我らの主は、世人に煉獄にありし霊魂のために祈りを捧げる事を願われています。

主はある時一度聖女に、金のテーブルの上にある、数多の高価な真珠を御見せになられました。
それらの真珠は、聖なる煉獄の霊魂のための祈りでした。
時を同じくして聖女は、煉獄の苦しみより解放され、まぶしき閃光を放ち、天国に昇って行く霊魂らの姿を見ました。

主は聖女に次のように言われました。

「わたしはいと高き喜びをもって、みじめなる霊魂らの為の、長く言い表せないほどの、私が大いなる代価を払いし者が、我に近づく為の、私への捧げを受け取るのである。

あなたの愛する霊魂の祈りによりて、私はあなたが祈りの言葉を唱えるために、あなたの舌を動かすのと同じぐらい、しばしば囚われし霊魂を煉獄より解放するように動かされるのである。」

 

聖女の臨終において、主はこのように告げられました。
「わが選びし者よ、来たれ。私はあなたをわが王座につかせる。」

 

<聖大ゲルトルードの連祷>

教会認可

主憐れみ給え▲キリスト憐れみ給え。
主憐れみ給え▲キリスト憐れみ給え。
キリスト我らの祈りを聴き給え▲キリスト我らの祈りを聴きいれ給え。

天主なる御父▲我らを憐れみ給え。
天主にして世のあがない主たる御子▲我らを憐れみ給え。
天主なる聖霊▲我らを憐れみ給え。
唯一の天主なる聖三位▲我らを憐れみ給え。
天の元后聖マリア▲我らのために祈り給え。

諸天使の聖なる諸級よ▲我らのために祈り給え

諸聖人と天主に選ばれし者よ▲我らのために祈り給え

聖大ゲルトルード▲我らのために祈り給え

みさお正しき童貞▲我らのために祈り給え

天の御父の御子女▲我らのために祈り給え

イエズス・キリストの選ばれし花嫁▲我らのために祈り給え

聖霊の聖殿▲我らのために祈り給え

聖三位の喜び▲我らのために祈り給え

イエズス・キリストの御手におけし、かぐわしき花▲我らのために祈り給え

春の緑を保ちし花▲我らのために祈り給え

棘を持たざるバラ▲我らのために祈り給え

罪の苦きを持たざる、潔白な鳩▲我らのために祈り給え

地上の熾天使▲我らのために祈り給え

生ける聖所▲我らのために祈り給え

イエズス・キリスト、聖ゲルトルードの花婿▲我らをあわれみ給え

彼女の謙遜によりて▲我らをあわれみ給え

彼女の潔白なるみさおによりて▲我らをあわれみ給え

彼女の絶え間なき堅忍によりて▲我らをあわれみ給え

彼女の御身の為の、ますます大なるものなりし愛によりて▲我らをあわれみ給え

彼女の心が御身に与えし、満ち足りたる心によりて▲我らをあわれみ給え

彼女に与え給いし御身の御愛によりて▲我らをあわれみ給え

全ての永久なるものより、御身が彼女を選び給いし御愛によりて▲我らをあわれみ給え

御身が甘美に、彼女を御自らに引き寄せ給いし御愛によりて▲我らをあわれみ給え

彼女の心に、より喜ばれつつ、住み給いし御愛によりて▲我らをあわれみ給え

幸いなる死によりて、彼女の生命を選び給いし御愛によりて▲我らをあわれみ給え

終わりなき喜びに、彼女が今あずかり給いし御愛によりて▲我らをあわれみ給え

御身の愛し給う諸聖人と、彼らに与えられし喜びの御愛によりて▲我らをあわれみ給え


世の罪を除き給う天主の子羊▲主我らをゆるし給え。
世の罪を除き給う天主の子羊▲主我らの祈りを聴きいれ給え。
世の罪を除き給う天主の子羊▲我らをあわれみ給え。

我は己を、御身の聖なる御とりなしと、豊かなる御功徳に委ね奉る。
ああ聖なる童貞ゲルトルード、我は御身に、わが心が御身を抱き奉りて、誠実なる愛と揺るがざる信頼に思いを重ね、御身の聖なる心にわが名を記し給わん事を、願い奉る。

御身が特別に心をかけ、特別に保護し給う者の数のうちに、我を据え給え。
我は御身の力強き御とりなしと、豊かなる御功徳とによりて、我に天主をより喜ばし奉る生活を送るを得しめ給え。アーメン。

聖ゲルトルード、愛しき童貞、我らの為に祈り給え。▲我らをキリストの御約束にかなわしめ給え。

祈願

いと慈悲深くまします主イエズス・キリスト、我御身に祈り奉る。
彼女を愛し、光栄を帰し奉る罪人に、備えなく死する事あらじと、御身は彼女に約束し給わんと導き給いて、聖ゲルトルードの童貞なる心に、御身が示し給いし恩寵と御愛とを心に留めさせ給いたれば、我は御身に、ふさわしからざる我にもこの恩寵と、わが回心と、わが全霊を挙げて御身を愛し奉らんがため、そして御身への信頼と信仰のうちに幸いな死とならんため、わが罪の償いを為す聖寵を我に与え給わんことを、こいねがい奉る。アーメン。

 

 

<聖ゲルトルードの 時計が鐘を打つ時の祈り>

「ああ、いと甘美なるイエズス、我は過ぎ去りし時に為したる一切を浄め、清浄ならしめんがため、御身の神威なる御心に委ね奉り、
永久の賛美をも天主なる御父に捧げ奉らん。
この時刻に始め、我の為す事のいかなるものであれ、我は潔白に、御身の御受難との一致のうちに、天主の誉れの為、万民の救霊の為に
単純に事を為し奉る事を決心し奉る。アーメン。」

 

 

<ハンガリーの聖エリザベトの祝日>

聖大ゲルトルードは、ハンガリーの聖エリザベトの祝日に、「Eia mater」の祈りをもって、聖エリザベトに非常に信心を込めて、崇敬をしました。
聖大ゲルトルードは、「我はふさわしからざれども、我を思い出て給え」と祈りました。

すると聖エリザベトが、聖ゲルトルードに言われました。
「私はあなたが、永久の妙光のうつしと存じており、その意向をされた時、あなたの行いは、素晴らしき光輝で輝きました。」

聖ゲルトルードは尋ねました。
「この聖務の間、私は天主に一致し、結果私があなたをより低くきものと考え、それがあなたへの喜びを少なく致しましたでしょうか?」

聖エリザベトは答えました。
「それどころか、私は尽きざる感謝と共に、これを受け取りました。
ある音楽の演奏が、本物の雄牛の鳴き声になるのと同じほど、私にとって、ずっと快きものです。

 

 

<聖大ゲルトルードと、ある修女の霊魂>

 

聖大ゲルトルードの修道会の中の最年長のある修女で、終油の秘蹟を受けた人がおり、聖女は彼女の為に、五回の「主祷文」を繰り返し、最後に、御わき腹の水が霊魂を浄め、いと尊き御血の御功徳によって飾られるように、我らの主の御わき腹の御傷において祈りました。

その後、聖大ゲルトルードは、その霊魂が、若きおとめの姿で、黄金の飾り輪のついた冠をかぶり、彼女にその聖寵を与えられし
我らの主に支えられているのを見ました。

聖女はこの霊魂が、回心の中で、これまでに犯した不服従の罪を浄められるまで、病者として地上に留め置かれるのであるという事を理解しました。

そして、その通りになりました。
その修女は、それから5ヶ月の間、病で苦しみ、浄められる中で、自らの犯した過ちを充分に明らかにしました。

 

いよいよ彼女が病から解放された日、我らの主が大いなる恩寵を与えられたように、彼女の霊魂は大いなる喜びに満ちた姿で現れました。
彼女は自らに起こった事を話そうとしましたが、彼女の感覚で持って完全に語る事は出来ませんでした。

しかし彼女が、他の修道女らと共に立っている、聖ゲルトルードを見て、聖女の名を呼んで、言いました。

「全てを御存じなのでしょう、私にお話し下さい。」

聖大ゲルトルードは、その霊魂に明かし、それから霊魂は自らで詳細に述べる事が出来ました。

他の者達が、何も見る事が出来ないとした時、彼女はすぐに彼らに、我らの主が私の罪を赦して下さり、数多の聖寵を与えて下さったのだと宣言し、言い返しました。



この修女が死去する前に、我らの主が彼女の為に、天主の御腕の中の場所を用意されていたのを見ていましたが、その霊魂は主の左側に現れ、小さな雲によって、主と彼女の間がさえぎられていました。

聖女は我らの主に、「主よ、この場所を用意されておりますのに、かの霊魂の為にふさわしからぬ雲が覆っているのでしょうか。」

主は答えられました。

「彼女はもう少しの間地上に留まれば、ここに合うものとなろう。」

そして、その御言葉の通りになりました。

 

その修女が苦悶の夜を過ごし、翌朝になって、聖ゲルトルードは、大いなる優しきしるしをもって我らの主が来られたのを見ました。
そしてその霊魂は息を引き取り、昇って主にまみえる為に現れました。

聖ゲルトルードは言いました。

「御身は憐れみ深き御父として、御自ら、この一人となり果てし霊魂を受け取りに来られ給いませんか。」

我らの主は、かの意向の御しるしによって示されました。


それから少し後、聖女は再び、その霊魂が、バラを携えた若きおとめの姿で、先に約束されし主への喜びに満ちて現れましたが、主に近づく事が出来ませんでした。
彼女は、「公教会のいと高きものが、汝に命ずる」の繰り返される言葉で、主の御足元で、まるで命を殆ど奪われたかのように、倒れてしまいました。

彼女が意識を取り戻した時、自ら御腕のうちに進み、主の八福の宝でもって、永遠に満たされました。

 

<他者の為に祈る重要性と価値>

聖大ゲルトルードは、大いなる慎みをもって聖女に祈りを願う人々の為に、私的にも、幾人かを通してでも、祈りました。

聖女は、我らの主が、その人のために近づかれ、天の御光と共に、その人を憐れまれ、聖大ゲルトルードの祈りの功徳によって、その人が受ける事を望む聖寵を、全ての聖寵の、この輝きの真ん中から、その人に注がれているのを見ました。

我らの主は、これによって聖女に、いかなる者であれ、天主より聖寵を受け取り奉る意向によって、堅固なる信頼をもち、他者の為の祈りにおいて、その者を委ねる時、例え己を委ねる為の祈りを怠っていても、主は御自らの善徳を、主を祝祷し奉る者達の上に注がれ、彼らの願いと信仰の量りに与えられるという事を教えられました。

 

<悪魔の誘いを退くること>

答唱を歌う中で、聖大ゲルトルードは、悪魔の群れが修女達を取り囲み、彼らに世の華々しさと虚飾を見せているのを見ました。
しかし、「(世の御国を思い巡らさん(
Regnum mundi et omnem ornatum saeculi contempsi)」の言葉の所で、悪魔どもは狼狽に満ちていました。

これによって聖女は、誰であれ、大いなる熱望をもって、悪しきものの一切の誘惑を投げ捨て、主イエズスを愛するために世俗を蔑む時、悪魔は直ちに退散し、このような強き抗う者に出会う時、再び彼らを誘惑するのを恐れるという事を理解しました。

 

 

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