扶助者聖母

「マリアの真の熱愛者が滅ぼされる事はないであろう。なぜなら聖母は悪魔のおそろしき征服者であられるからである。」
(聖アルフォンソ・マリア・リゴリオ)

「聖母は全ての天使、諸聖人達よりもただ唯一偉大であられるので、聖母は彼ら全てのためよりもわたくし達のために更に気づかわれるのである。」(聖アウグスチノ)

「他の聖人方は特定の徳の手本を御与え下さるが、祝せられたる童貞は全ての手本を御与え下さるのである。」
(聖トマス・アクイナス)

 

<扶助者聖母による癒し>

教会認可

ジュゼッパ・ロンザは10歳でありました。
彼女は激しき痙攣の結果、長期に渡って麻痺が残りました。右腕は全く動かず、直立したままでいる事も出来ず、話す力をも失いました。
医者によって定められている治療は全て効果がなく、彼女の信心深い母親は扶助者聖母に御助けを願いました。

聖なる公教会がこの甘美なる称号のもとに聖母を呼び奉る祝日の前夜に、この惨めな女性は望みなき治癒を嘆願し奉るために、ヴァル・ドックの聖地に娘を運びました。
彼女はそうして扶助者聖母の祝福をこの病める子の上に解き給うであろうドン・ボスコのもとに行きました。
この聖人的司祭の住居は、夕刻には不幸なる子供達を見て情けを抱いた訪問者達でごった返していました。

少女の苦しみは痛みに満ちたものであり、直立する事も出来ず、また座る事も出来ませんでした。
母親は目で用心していましたが、彼女は刻々と傍らに倒れつつありました。
彼女は待つ事が出来ないと考え、彼女の前の順の人々を見て、また娘の容態を考えて重苦しき心と共に去る準備を始めた所、自分の必要なものを忘れたという先の人が、順番を待つ人々より先に彼女を通そうと申し出ました。

ジュゼッパはドン・ボスコの前に運ばれて、長いすに座らされました。
母親は彼女の複雑な病を説明しました。
聖なる司祭は惨めな女性に聖母の仁慈に信頼し奉る様に勧め、小さな病者には彼が扶助者聖母の祝福を願い奉る間にひざまずく様に言い渡しました。

彼は十字架のしるしを行う様に少女に言いました。彼女はそれを左手で行おうとしましたが、ドン・ボスコは速やかに間に入りました。
「いけない、わが子よ、左手はいけない。十字架のしるしを行う際には右手を使わなければならない。」
「彼女の右手は麻痺しております。」と母親は言いました。
「それがそうなれば、確かめよう。」とドン・ボスコは言いました。
彼は少女に禁止令を繰り返しました。
母親の驚きとは反対に、その後彼女は右腕を上げ、手を額に、そして胸に、右肩に、そして左肩に上げました。
「良いですね!」とドン・ボスコは大声で言いました。

「あなたは適切に十字架のしるしを行いました。しかしあなたは言葉を発しませんでした。
さあ、しるしを繰り返して、自分で言葉を発しなさい。聖父と聖子と聖霊の御名によって。アーメン。」
彼女は1ヶ月以上の間口がきけませんでしたが、彼女は舌が緩められるのを感じました。彼女はしるしを繰り返して、言葉を発しました。
そして喜びの恍惚のうちに彼女は叫びました。「ああ祝せられたる童貞なる御母が私を癒し給いました!」
これらの言葉を聞いて、大喜びの母親はただ泣くばかりでした。彼女の喜びと感謝は想像し得るものでしょう。

「聖なる童貞があなたを癒し給いし今、」ドン・ボスコは続けました。
「彼女に感謝し奉るために急ぎなさい。あなたの心からの天使祝詞を扶助者聖母に光栄を帰し奉るうちに唱えなさい。」
明確な声で、ジュゼッパは大変信心深く祈りを唱えました。
しかし彼女が立ち、歩く事が出来なければ充分ではありません。

ドン・ボスコは室内を歩き回る様に言い、彼女はしっかりとした足取りで数回歩きました。
実際に癒しは終わっており、完全でありました。
溢れんばかりの感謝を抑えきれぬ彼女は戸口に急いで戸を開き、数分前には明らかに不治の病者であった自身を人々の前に示しました。
「私の事に、祝せられた御母に感謝して下さい。」と彼女は言いました。
「彼女の仁慈は私を癒し給いました。私は腕を動かす事が出来、歩く事が出来ます。私は痛みに苦しみません。」

この言葉と光景は、そこにいた全ての者に言いようのない思いを引き起こしました。
彼らはこの恩寵を与えられし子、彼らの呼ぶこの奇跡の子の周りに集まり、幾人かは泣き出し、他の者達は天主に光栄を捧げ奉る祈りを口にして祈りました。

その母子は扶助者聖母の聖地で感謝を捧げ奉るために急ぎました。

 

<祈願>

「力強き童貞マリアよ、御身公教会の力強き栄光に満てる保護者なり。
御身はキリスト信者らの驚くべき助け手なり。
御身は戦いにおけし戦列整えたる軍団の如く鼓舞させ給う畏怖なり。

我らの苦悶、悶え、苦悩の只中において我らの敵の力より、かつ臨終の時において我らを守り給い、天において我らの霊魂を受け取り給わんことを。」

 

<祈願U>

(3世紀に作成された祈り)

「我らは御身の保護になげき奉る。ああ聖なる天主の御母よ、我らの困窮における請願を嫌い給わず、全ての危険より常に我らを救い給え。
ああ栄光に満てる、祝せられたる童貞よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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